令和7年9月

 今日から2学期が始まります。6年生にとっては、それぞれの「明日」に向けて6年間の集大成をなす学期となります。一方、5年生以下の諸君には、日々の授業やクラブ活動とともに、感性を刺激する行事も待っています。直近では「獅子児祭」があります。
 今年度の獅子児祭の開催は今月の14日と15日ということで、ここ数年で最もはやく、その分、夏期休暇前から、そして夏期休暇中も、準備を進めていた人たちの姿がありました。

 獅子児祭は、学園の教育理念である“Think&Share”を、君たち自身が具現化する大切な舞台です。

 実行委員として、クラスとして、部活として、有志団体として……、君たちは獅子児祭を通じてそれぞれの “Think”を追究し、それを表現します。準備を進めていく中で、アクシデントがあったり、互いの意見がぶつかってしまったり……、数々の困難に直面することもあると思います。しかし、それは成長のチャンスです。困難を乗り越えるために、君たちは主体性や協働性を一層発揮するはずです。主体性や協働性は、教えてもらって育つというより、自ら発揮することで育っていくものです。主体性の発揮は「明日をみつめて、今をひたすらに」、協働性の発揮は「違いを認め合って、思いやりの心を」の実践です。したがってその過程には、この学園の2つのモットーを、頭で理解するだけでなく、身体と心に染み込ませていくという、大切な価値があるのです。

 また、開催当日は多くのお客様が来場してくださいます。その方々が、君たちの“Think”を“Share”してくださいます。誰にも来ていただけないとしたら、それほど寂しいことはありません。多くの方々が来場してくださることで、君たちの充実感や達成感もより大きなものにするこができます。
 そのことに思いを致し、湧き上がってくる感謝の思いを大切にしてください。そこから、困難があってもそれを乗り越えて“Think”を追究しようという勇気、来場してくださった方々に親切に丁寧に対応しようという慈悲の心、思いやりの心が生まれます。獅子児祭は、その名が示すとおり、獅子児である君たち自身が主人公です。お客様に「来てよかった」「楽しかった」と思っていただける獅子児祭を創り上げることは、主人公である君たちの責任でもあります。

 「随処(ずいしよ)に主(しゅ)と作(な)れば、立処(りっしょ)皆(みな)真(しん)なり」という言葉があります。自分の置かれた場所で、主人公として隙のないように精いっぱい自らの役割を果たすなら、いつどこにあっても「真実のいのち」にめぐりあえる、という意味です。随所に主となって主体性、協働性を発揮する。そこに大きな可能性が広がっていきます。
 1学期に開催した学校説明会では、毎回、昨年度の獅子児祭の様子を動画でご紹介していました。その中で昨年度の実行委員長を務めた山本君がこう言っていました。「本当に最高でした。1年間準備してきたものが全部具現化して、準備しているときイメージの世界でやっていたものがしっかり形になって、それをお客さんが楽しんでくれたっていうのが、すごい嬉しかったです」。そう語る彼の表情には、随処に主となることに徹したからこその清々しさが満ち溢れていました。

 開催まであと2週間を切りました。これから準備も大詰めに入っていきます。一人一人が随処に主となって、素敵な獅子児祭を創り上げてください。

                               (2学期「始業式」式辞より)