令和4年1月

 令和4年、明けましておめでとうございます。
 今日から3学期が始まります。ただ、新型コロナウイルスについては、今までより感染力が強いオミクロン株への置き換わりが進んでいて、感染者数も急増しているところです。昨年の秋以降、落ち着いた状況が続いていて、もしかしたら君たちの中にも感染予防対策への意識が薄れている部分があるかもしれません。自分が感染しないため、人に感染させないため、改めてマスクの正しい着用、換気、手洗いや手指消毒、黙食、ソーシャルディスタンス等々、基本的な対策を徹底してほしいと思います。よろしくお願いします。

 さて、今年は寅年です。十二支に使われている「寅」という漢字は、弓矢を両手で引き絞る形を表した象形文字です。元々は「引っ張る」、「伸ばす」という意味で使われていましたが、それが矢が放たれる準備段階であることから、「動き始め」、「胎動」という意味が派生したということです。さらに、十二支の一つひとつには、動物が当てはめられていますが、動物の「虎」は、ライオンと並んで勇猛なイメージがあります。したがって、今年は「新たな成長に向けて力強く動き出す年」だと言ってもよいのではないかと思います。逆に言えば、動き出すからこそ、成長に向かうことができます。

 メジャーリーガーの大谷翔平選手は、メジャー1年目のオープン戦で、打率は1割台、防御率も27.00と低迷していました。そこでシーズン開幕前、彼は思い切ってあるメジャーリーガーのもとを訪ねました。今は引退している当時のイチロー選手です。そのときにもらった「自分の才能をもっと信じた方がいい」という言葉が、変わるきっかけになったといいます。
 大谷選手は、自分の才能って何だろうと考えました。
── 最初から野球が上手かったわけではない。自分より野球が上手い選手はたくさんいた。しかし、だから自分がダメなわけではない。努力して勝っていけばいい。そう思うところが自分のいいところだ。それならば、上手くなるにはどうしたらよいのか。──
 つまり、上手くなる、そのためにはどうしたらよいかを考えて努力する、それが自分の才能だということに気づいたのです。

 昨シーズン、大谷選手が試合前にいつも黙々とフェンスに向かってカラーボールを投げている、そういう映像を見たことのある人もいると思います。あれは、さまざまな重さのボールを投げていたのだそうです。大谷選手にはコントロールに課題がありました。その克服のために、投球動作の感覚を磨き、安定したフォームを身につけようと始めたトレーニングだということです。結果、大谷選手のコントロールは月を追うごとに改善されて、フォアボールの数は激減しています。
 大谷選手は言います。
「1日2日やったからといってすぐによくなるものではない。長い間続けて、こうすればもっとうまく投げられるなと、ちょっとずつ気づくもの。やれば誰でもできることなので、続けてやることが大事なのだと思う。」
 動き出す。そして、向上のための工夫と努力を地道に続ける。それが大きな成長につながるのだということです。

 もしかしたら、折角始めたことが失敗に終わることもあるかもしれません。しかし、失敗にも、そこからしか掴み取れない貴重な何かがあります。

 新しい年が始まりました。成長のために自分に何が必要かをみつけて、力強く一歩を踏み出してほしいと思います。

(「3学期始業式」式辞より)