令和2年12月

 令和2年が始まったばかりの昨年度3学期始業式で、こういう話をしました。

 今年は子年であり、十二支の先頭に位置している「子」は、「種子の中に新しい生命が萌(きざ)し始める状態」を指している。だから、「子年」とは、新たな成長が始まる、未来への可能性にあふれた年であると言える。

 この話をしたとき、新型コロナウイルス感染症によって、これほど世界が混乱しダメージを受けるとは、想像もしていませんでした。
 学園にしても、カナダ英語研修や修学旅行など、多くの行事が実施できていません。部活動には時間的な制限があります。明日から4日間は3学期を先取りする形で授業があります。
 しかし、今まで通りにはいかないことの多いこのコロナ禍にあって、君たちは先月、獅子児祭の開催を、オンラインという新しい方法で見事に成し遂げました。
 実行委員の諸君が議論に議論を重ねて、「例年通りの開催が難しいから仕方なく」という理由ではなく、「今だからこそできる新しい形に挑戦したい」という実に積極的な理由で、自分たちでオンライン開催という決定をしてくれた、そして、多くの生徒諸君がその決定のもと、互いに協力して、獅子児祭の主人公として行動してくれた、そのことをうれしく、また誇りに思っています。
 今もいくつかのコンテンツが学園のホームページ上で公開されていますが、当日は私も君たちの力作を楽しませてもらいました。バーチャル空間で開催されたグランドフィナーレにも、アバターをうろちょろさせながら、参加させてもらいました。実行委員長の山口君が、ピンチはチャンスだと言っていましたが、それを身をもって示してくれた君たちに、勇気をもらった気がしています。
 2日間のアクセス数も合計2万回を超えたということです。数だけではありません。アンケート結果からは、君たちの保護者の方々が温かい眼差しで見守ってくださっていたことがよくわかります。学校見学にいらした小学生や保護者の方からは、「とても楽しかった」、「生徒の皆さんの努力が伝わってきた」という感想をいただきました。そういう方々の存在があって、君たちの達成感や充実感はより大きくなります。そのことにも感謝をしたいと思います。

 もちろん、君たちとしてはいろいろな課題が見つかったと思います。しかし、今まで通りの多くが通用しない中で、今だからこそと挑戦して創り上げた今年の獅子児祭は、子年の意味の通り、新たな成長を予感させる、未来への可能性にあふれた獅子児祭となったと思います。そして君たち自身も、この挑戦によって成長し、未来への可能性を育むことができたのではないかと思います。

 感染者数が増加し、コロナ禍は予断を許さない状況にあります。自分が感染しないため、人に感染させないため、細心の注意をはらい続けなければなりません。行動の制約もあります。しかし、どんなことにもプラスの面とマイナスの面の両方があります。だから、マイナスの面ばかりにとらわれず、プラスの面を探してそこに目を向ける。君たち自身が、獅子児祭を通して実践して見せてくれたことです。これからも、嘆くことにエネルギーを使うより、希望を見つけてたくましく前進していきましょう。