校長のおはなし
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令和2年1月

 令和2年、明けましておめでとうございます。

 

 今年は子年です。「子・丑・寅……」と始まって「……戌・亥」で終わる十二支は、昔は日付、さらには時刻や方位を表すのにも使われていて、覚えやすいようにということで、その一つ一つに動物が当てはめられています。しかし、十二支のそれぞれの漢字は、そもそもは植物の成長過程を表していると言われます。「子」はその先頭に位置していて、これは「種子の中に新しい生命がし始める状態」を指しているということです。つまり「子年」とは、新たな成長が始まる、未来への可能性にあふれた年であると言えます。

 

 では、自分の中にある、未来へ可能性を秘めた種子を育てるのは誰か。それは他ならぬ自分自身です。人任せにして、誰かが水をまいてくれるのを待っているだけでは、成長は望めません。

 18世紀のイギリスの歴史家であるエドワード・ギボンという人にこういう言葉があります。

 「あらゆる人は二つの教育を持っている。その一つは他人から受ける教育であり、他の一つは、これよりもっと大切なもので、自らが自らに与える教育である。」

 

 今年は、東京でオリンピックが開催されます。日本にメダルをもたらすことが期待されている競技の一つに、以前はシンクロナイズド・スイミングと呼ばれていたアーティスティック・スイミングがあります。その日本代表のヘッドコーチで、選手に厳しい練習を課すことで知られる井村雅代さんがこういうことを言っています。

 「私と一緒に練習して、それで、ああ厳しい練習が終わってよかった、というような意識のレベルでは絶対にメダルは取れない。大事なのはその練習の後。では自分は何をするかを考え、さらに自分で練習するような人でなくてはメダルは取れない。」

 自らが自らに与える教育がいかに大切か、まさにそのことを言い表した言葉です。

 

 自分は自分の主人公であり、世界でただ一人の自分を創っていく責任者です。たとえ思うようにいかないときがあっても、それを人や環境のせいにしていたら、自らの成長にはつながりません。自らの脚下を照顧して、自らの中に理由を見つけて解決しようと精進するところに、成長があります。その姿勢が、未来への可能性を大きく膨らませます。

 

 6年生は、いよいよ大学入試の本番がスタートします。大学入試は他人との競争ではありません。自分の掲げた目標を達成する一つの関門であり、自分の内側にひそむ心の弱さと対決して自分を鍛える試練です。まさに、自らが自らを教育する絶好の機会です。君たちが、この試練を越えて大きく成長した自分と出会う、そのことを切に願っています。