学園には、「世田谷健児」として、「旃檀林(せんだんりん)の獅子児」として、君たちに目指してほしい3つの人間像があります。すなわち、
①自立心にあふれ、知性をたかめていく人
②喜びを多くの人とわかちあえる人
③地球的視野に立って、積極的に行動する人
ということです。新入生の諸君に入学式で話した「知性豊かで自立心にあふれ、心あたたかくたくましい人間」というのは、この3つをまとめて言ったものです。人は誰でも、たった一度のこの人生を幸せに生きていきたいと願っています。この3つの人間像は人生を幸せに生きていく人の姿であり、「明日をみつめて、今をひたすらに」、「違いを認め合って、思いやりの心を」という学園の2つのモットーは、そのための指針です。
では、人生を幸せに生きていくために、具体的にどういうことを実践していけばよいのか。それを示してくれているのが「六波羅蜜(ろくはらみつ)」の教えです。「波羅蜜」は、「摩訶般若波羅蜜多心経」の「波羅蜜」で、「到彼岸」(彼岸に到る)という意味です。苦しみの多い此の岸、此岸から、心の平和な彼の岸、彼岸に到る。「六波羅蜜」はそのための6つの実践で、布施(ふせ)、持戒(じかい)、忍辱(にんにく)、精進(しょうじん)、禅定(ぜんじょう)、智慧(ちえ)のことを言います。今日は、このうちの「持戒」について話をしておきたいと思います。
「持戒」は戒、戒めを持つと書きますが、それによって「人間として自覚を求める生活」を「する」ということだと理解してください。
前回の朝礼で、「行学一如」の話をしました。君たちには、「挨拶の励行」、「正しい服装」、「10分前登校」、「清掃整頓」という4つの実践目標があります。これらは、「行」すなわち「人間として自覚を求める生活」の基本の形です。基本の形ということは、君たちにはこれを発展させていくことが求められるということです。では、どういう方向に発展させていけばよいのか。話としては難しいことではありません。生徒手帳の1ページ目に『七仏通誡(しちぶつつうかい)の偈(げ)』があります。
諸の悪は作すこと莫く 衆の善は奉行し
自ら其の意を浄くする 是れ諸仏の教なり
人が見ていようが見ていまいが、悪い行いはせず、善い行いは進んでする。この当たり前のことを当たり前にする、それが「人間として自覚を求める生活」です。ところが、言うだけなら誰にでもできても、行うとなるとそう簡単ではないのが現実です。人はすぐに自分勝手な小さな「個我」にとらわれて、そのときその場での自分にとっての損得という価値基準で行動してしまうところがあるからです。善いことであっても、面倒くさいと思えば、そのときその場では自分にとって損になるからやめておこうということになってしまいます。
だから、まず自ら戒を持つということが必要になります。
私たちの「生活」には社会のきまりや人との約束があります。自分はこれはしない、これは進んでする、そういう自分との約束もあります。それらは守るのが当たり前なのに、破ろうと思えば簡単に破ることができてしまいます。しかし、社会のきまりや人との約束を破れば、他に迷惑をかけ、信頼を失います。確かに自分との約束は、破ったところで誰にも迷惑をかけないかもしれません。しかし、自分からの信頼を失います。
君たち「旃檀林の獅子児」は、頭を上げ、胸を張り、大地を踏みしめて、堂々と闊歩するのです。だから、自ら戒を持ち、意識して自分で自分を厳しく律する。このくらいいいやと自分を甘やかそうとする弱い心に打ち克つ。自分で自分を信頼できれば、いつどんなときも、恥じることなく堂々としていられます。
君たちが「旃檀林の獅子児」としての道を、頭を上げて、胸を張って、正々堂々と闊歩していくことを期待しています。(朝礼でのお話から)
校長のおはなし
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