平成30年3月

 本日で、平成29年度が修了となります。君たちは平成30年度に向けて大きな節目を迎えています。
 以前、節目あっての「やる気」、「再起」であり、節目あっての「成長」だという話をしました。時の流れが用意してくれた折角の節目です。ぜひ、強い節目にしてほしいと思います。そのためには、各自が脚下照顧、自らの足もとを照らし顧みて、まず現在の自分を客観視することです。
 先日、韓国の平昌で冬のオリンピック、パラリンピックが開催されましたが、日本勢として第1号の金メダルに輝いたのが、怪我を克服して出場したフィギュアスケートの羽生結弦選手でした。
 彼は、小学生の頃から「発明ノート」というものをつくっていて、練習でジャンプが成功したとき、あるいは失敗したとき、体の各部分がどう動いていたかを整理しているといいます。そして、成功のための「絶対に見つけなきゃいけないポイント」を絞っていくのだそうです。日々、自分を客観視して、それを成長につなげる。彼にとっては、毎日が節目なのだと思います。
 「現在の果を知らんとすれば過去の因をみよ。未来の果を知らんとすれば現在の因をみよ」という言葉があります。現在の結果は過去の原因によるものであり、未来の結果は現在の原因によるものです。
 自らの足もとを照らし顧みるということは、これまでの自分を振り返り、羽生選手が発明ノートでしているように、現在の自分がいかにあるのかを知るということです。では、未来にどうありたいのか、未来にこうありたいという自分を描いて、そのために現在の自分がいかにあるべきかを考える。過去にどんなに変えたいと思う原因があったとしても、過去に戻って変えることはできません。しかし、未来の原因となる現在の自分のあり方は現在の自分の意志で決定することができます。いかにあるのかという自分をいかにあるべきかという自分にするのは、「今、ここ」をおいて他にありません。
 羽生選手はフリーの演技を終えた直後、「勝ったー!」と力をこめて叫んでいました。それは、他の選手に勝ったということではなく、自分自身に勝ったんだという叫びでした。
 ものごとは心にもとづき、心を主とし、心によってつくり出されます。仏教詩人の坂村真民という方は、これを「念ずれば花ひらく」という言葉で表現されています。羽生選手の演技はまさにそれであったと思います。
 未来にこうありたいという自分になるために、花ひらくために、現在の自分がいかにあるべきか、その意志、その一念を強くもつ。そして、年度が変わるこの節目を強い強い節目にしてほしいと思います。(修了式のお話から)