入試講評

平成30年度 中学入試講評

 

国語

国語1次 正答率・講評

問題 正答率(%)
受験者 合格者
完全 部分 完全 部分
【一】 問一 5.2 92.1 6.8 92.0
問二 24.1 0 28.4 0
問三 58.1 39.8 64.8 34.1
問四 78 0 81.8 0
問五 67 0 73.9 0
問六 48.2 0 58.0 0
問七 2.1 11.5 3.4 15.9
問八 57.6 35.6 67.0 29.5
問九 0.5 46.6 1.1 47.7
問十 37.7 38.2 47.7 36.4
【二】 問一 66.0 33.0 76.1 21.6
問二 34.0 64.4 31.8 68.2
問三 62.3 1.0 65.9 0
問四 55.0 0 62.5 0
問五 70.2 0 79.5 0
問六 73.8 0 79.5 0
問七 1.6 51.8 2.3 55.7
問八 9.9 49.7 18.2 54.5
問九 53.9 1.6 65.9 2.3
問十 2.1 39.3 2.3 51.1
【三】 漢字 3.1 96.3 3.4 96.6
【一】
問題文の出典は、イタロ・カルヴィーノ・作(米川良夫・訳)『木のぼり男爵』(白水社)。
木の上で生活をする少年コジモが退屈しているところに、おたずね者の盗賊(山賊)荒ら草ジャンが警吏たちに追われて飛び出してくる。コジモが荒れ草ジャンを助けたことがきっかけとなり、やがて二人の間に交流がうまれるまでの場面から出題した。なお、物語はこの場面に登場しないコジモの弟の視点から語られているため、問題文の末尾(「こうして兄と山賊の交際が始まった」)に突然あらわれる「兄」という呼称にとまどった受験生もいたようである。ただし、問題文に登場するのはコジモ、荒ら草ジャン、愛犬オッティモ・マッシモ、警吏2名だけなので、場面がしっかり把握できていれば判断に迷うことはない。
問七、問九は正答率が非常に低かった。問七はコジモの発話が意味するところを解釈して説明する問題だが、解釈の根拠となる部分を文中から引用して解答する必要がある。根拠となる箇所の抜き出しで失点する受験生が目立った。問九はコジモと荒ら草ジャンの共通点を説明する問題であるが、「本文から読み取れる」という条件を逸脱した解答が散見された。問十は荒ら草ジャンが今後どのように変化していくかのを、書物が果たす役割を明らかにしつつ自由に想像して解答するという問題であった。書物の役割が説明されていない解答も若干見られたが、こちらは概ねよく書けていた。
すべての問題についていえることであるが、問題を解く際には、本文(問題文)から読み取ることができる解答根拠を意識するように心がけてほしい。
【二】
問題文の出典は、菅野仁『友だち幻想 人と人の<つながり>を考える』(筑摩書房)。
自己と他者との関係性の結び方についての評論である。私たちは、ともすれば「自分のことを百パーセント丸ごと受け入れてくれる人がこの世の中のどこかにいて、いつかきっと出会えるはずだ」という幻想を抱いてしまう。しかし、「私と同じ人」は存在するわけがない。私たちが求めるとするならば「信頼できる『他者』」なのではないか。「私と同じ人」を追い求めることからは、相手に対しても自分にとっても不都合が生じる。「絶対受容」を求めることなく、相手の個別的な人格に向き合い関係を深め信頼感を作ろうとする態度こそが求められるのだろう、という要旨。
中心となる内容把握問題は、問七、八、九である。問七 「絶対受容」を求めることから生じる危険や不都合を記述させる問い。「相手に対して生じること」、「自分自身に生じること」を逆に記した解答が散見された。問八 「絶対受容」を求めることから生じる「絶望」、「絶対受容」から解放されることから生じる「希望」、についての論述問題。直前の文章からの抜き出しだけで処理しようとする傾向があり、「絶望」と「希望」との対比構造を明確にできていない答案が目立った。また傍線部の後に出てくる「恋愛」の例に引きずられてしまった答案も見られた。問十 本文全体を俯瞰する論述問題。1「絶対受容を求めない」 2「相手との信頼関係を深める」の二つがポイントとなる。時間がなくて、真っ白な解答用紙も見られた。記述問題では、部分点や別解も用意しているので、最後まで諦めないで、解答できるよう訓練して欲しい。
【三】
②「手中」の「手」、③「不測」の「測」、⑤「旗手」の「旗」、⑧「絹糸」の「絹」、「署名」の「署」において書き間違えや同音異義語との混同による誤答が見られた。日頃から漢字に親しみ、正確に書けるようにするとともに、語彙力を増やしていってほしい。

国語2次 正答率・講評

問題 正答率(%)
受験者 合格者
完全 部分 完全 部分
【一】 問一 77.5 22.0 81.8 17.9
問二 18.6 72.3 23.0 73.0
問三 37.1 62.4 43.4 55.8
問四 20.8 0.5 25.2 0.4
問五 82.4 2.0 84.3 1.5
問六 50.0 4.0 54.0 4.4
問七 56.7 0 59.9 0
問八 86.9 0 89.8 0
問九 84.4 0 90.5 0
問十 88.6 0 94.2 0
問十一 11.1 58.4 13.5 59.1
問十二ア 68.3 19.3 79.2 11.7
問十二イ 34.4 15.1 43.1 17.5
【二】 問一 27.0 60.9 29.9 60.6
問二 49.4 0 54 0
問三 86.9 0 93.4 0
問四 75.2 21.8 81.4 17.5
問五 38.2 15.4 44.9 16.1
問六 49.5 0 52.2 0
問七 48.0 33.2 58 30.3
問八 59.4 0 66.8 0
問九1 67.8 0 75.9 0
問九2 0.7 14.9 1.1 17.5
【三】 漢字 13.9 84.7 18.2 81.0
【一】
問題文の出典は、万城目学『ホルモー六景』-「ローマ風の休日」(角川書店)。
高校生の「僕」(語り手)がひそかに恋心を寄せる大学生の楠木と数学の宿題を解くために京都市内の「橋」を自転車でめぐる場面から出題した。「僕」が捉えている「デート」の内容とそれに気付かない楠木の対比を読み解くのが設問の中心となる。
問1、問2「基礎的な語句」に関する問いについてよくできていた。意味を二字熟語に直す問2においてとまどった受験生も多いと思うが、言葉の意味を日頃から類型化する練習をしてほしい。
問11「理由説明」に関する問いであるが、問七・問十との関連がある。「デート」という状況に「僕」がどのような期待を込めており、実際の「デート」がどのようなものであったかをまとめた受験生が散見された。完全解答を目指すためにはそこに「僕」が何を感じたのかまでをまとめる。
問12「内容の正確な把握」「情報整理」に関する設問である。本文中に記載されているコースの情報を「方角」と絡めて正確に理解する。「葵橋」の位置と最後の「御池大橋」を西から東に渡ることが解答へのポイントとなる。
【二】
問題文の出典は、中沢正夫『こころの医者のフィールド・ノート』(ちくま文庫)。
精神科の閉鎖病棟に体験入院した医学生の話を中心に、先入観によって他者理解がいかにゆがめられるかということを述べた文章。医学生の認識の変化を時系列に沿って整理・理解できるかが、解答の鍵であった。
具体的に言うと以下のとおり。
1 入院中の医学生が、患者をどのようにとらえるようになったか。(問三・問七)
2 入院中の医学生が、医者をどのようにとらえるようになったか。(問四)
3 入院中の医学生が、患者の境遇をどのように考えるようになったか。(問六・問八)
4 退院後の医学生に、患者がどのように見えてきたか。(問七)
また、問九2については、相互理解の大切さについて述べた解答が大多数であった。この文章は、「精神病者」から「医者」への理解は求めていない。あくまで、「医者」の持つ先入観の問題が取り上げられている。この設問では、自分自身がとらわれている価値観・先入観を自覚したエピソードを書いてほしかった。
【三】
形の似た漢字の書き間違え(①未完【ミカン】の「未」が「末」になっている)のほか、同音異字の混同(②麦秋【バクシュウ】の「麦」が「爆」になっている、④折半【セッパン】の「折」が「切」になっている、⑤善戦【ゼンセン】の「善」が「全」になっている)による誤答が見られた。日頃から漢字に親しみ、正確に書けるようにするとともに、語彙力を増やしていってほしい。

国語3次 正答率・講評

問題 正答率(%)
受験者 合格者
完全 部分 完全 部分
【一】 問一 46.7 47.3 59.2 36.8
問二 32.7 64.8 44.7 53.9
問三 66.1 0 85.5 0
問四 84.2 0 93.4 0
問五 62.4 0 73.7 0
問六 15.8 0 19.7 0
問七 19.4 49.7 26.3 51.3
問八① 75.8 15.8 78.9 17.1
問八② 37.0 0 43.4 0
問九 46.7 13.9 59.2 15.8
問十 7.3 37.6 7.9 43.4
【二】 問一 38.0 58.0 53.0 45.0
問二 17.0 4.0 28.0 7.0
問三 49.0 0 58.0 0
問四 39.0 0 50.0 0
問五 24.0 0 29.0 0
問六 44.0 1.0 61.0 1.0
問七 55.0 0 64.0 0
問八 25.0 0 37.0 0
問九 0 51.0 0 59.0
問十 0 25.0 0 30.0
【三】 漢字 2.4 96.9 2.6 97.4
【一】
問題文の出典は、サキ 著(和爾桃子 訳)『けだものと超けだもの』より「納戸部屋(白水社)。
伯母がいたずらをしたニコラスへの見せしめとして、突発的に従妹たちを海へと遠足に行かせ、ニコラスを留守番にして懲らしめようとする場面から始まる。しかしニコラスは留守番の間に伯母の目をあざむき、納戸部屋で逸品を目にして楽しむことに成功する。一方伯母はグーズベリー園にニコラスが侵入したと勘違いをした末、誤って雨水タンクに落ち、出られなくなってしまう。伯母は女中に助けられるが、その後のお茶会では、従妹たちは伯母の無計画な遠足で楽しくなかったために無口であり、伯母も不機嫌で皆黙っていた。しかしニコラスだけは考え事に夢中で黙っている、というかたちで締めくくられる。文量がやや多いものの理解の難しい展開はない。設問としては、登場する人物の心情理解を基礎として、物語を構造的に把握する力が求められた。
問一・問二の語彙問題は完全正答率の低さが目立つ。日々の読書を通じて多様な表現に触れ、語彙を養うべきである。わからない語彙を予測する力は、自発的かつ有機的な読書行為によってのみもたらされるものである。問三・問四は正答率が高く、人物の心情把握については基本的に良くできていると言える。次問の問五の文意把握についても概ね良い。しかし、問六以降の解釈が関わる問題は総じて正答率が低い。前後の文章をよく理解したうえで、解答の根拠となる部分を適確に把握することが求められる。表現への理解を問うている問八②では合格者の正答率の高さが際立つ。文脈から対象の表現の意図を正確に汲み取るためには、自ら表現する頻度を上げるのが良いだろう。問十の問題は人物像の把握でありながら、作品の構造に深くかかわるものであるが、それ以前に条件を満たしていない解答が散見された。「タペストリーを見つけた場面」でニコラスが「物語」を創造したことは明記されているので、その点とこれまでのニコラスの行為を関連付けて考えることが肝要となった。解釈という行為には必ず根拠が求められる。問題の条件をヒントだと思って、文中の該当箇所から思考する訓練を絶やさないでほしい。
【二】
問題文の出典は、玉村豊男『食卓は学校である』(集英社)。
味覚の進化について、人間の成長と重ね合わせながら分かり易く説明した文章である。
【一】を解くのに時間がかかってしまった受験者が多かったようで、全体的にあまりよく解答できていなかった。特に、問九・十の記述問題は空欄が目立った。
問二は漢字の穴埋めではあるが、文章の展開が正確に捉えられていないと正解はできない。実際にⅠやⅡに「甘」という字を解答した誤答が目立った。
問七は四字熟語を文の内容に合わせて考えるものだったが、正答率自体は高いものの、思ったよりもできていなかった。
問九は「料理」というものがどういう「意味」を持っているものなのか、素材に手を加えることとおいしく変化させることの二点をまとめて欲しかった設問であるが、「素材に必要以上の手を加えず」といった方向性のずれてしまっている誤答が目立った。
問十は本文全体にわたって筆者が述べている人間の味覚の進化と人間の成長との重なりを解答して欲しかったが、冒頭の甘さから辛酸までに偏った内容のものや、味覚の進化だけに関する内容のものが多く、全体を読み切れていない解答が多かった。
キーワードを探し、テーマを捉え、筆者の主張を整理する、といった基本的な読解練習を繰り返すことで、どのような問題文でも短い時間で読み切ることができるようになるはずである。問題ばかりにとらわれず、正確に内容を把握できるような読解力を身につけよう。
【三】
①【日輪】の「輪」が「論」になっていたり、④【意味深長】の「深長」が「慎重」や「伸長」になっていたりするなど、日常の使用語彙にない語句での間違えが多く見られた。また、②【風評】が「不評」になっていたり、③【満身】が「満心」になっていたりするなど、文意に沿わない誤答も多く見受けられた。漢字を書くことのみに意識を注ぐのではなく、意味・用法も確認して、豊かな語彙を身につけてほしい。