入試講評

平成29年度 中学入試講評

 

理科

理科1次 正答率・講評

問題 正答率(%)
受験者 合格者
【1】 問1 98.4 100.0
問2 74.3 84.4
問3 79.9 88.9
問4 85.2 93.3
問5 33.3 40.2
【2】 問1 81.5 88.9
問2 65.1 81.1
問3 60.8 64.4
問4 68.3 81.1
問5 67.0 78.5
【3】 問1 11.1 16.7
問2 15.9 22.2
問3 41.8 45.6
問4 67.7 77.8
問5 91.5 95.6
問6 77.8 88.9
【4】 問1 70.4 77.8
問2 73.0 77.8
問3 89.7 96.7
問4 86.2 97.8
問5 83.1 97.8
問6 42.9 66.7
問7 82.5 94.4
【1】
日本で観察される夜空の星に関する問題。問1から問3は星座や1等星についての基本的な知識で解答が可能である。問4はその星座が観察できる方角と季節を考える問題。北の空で観察されるカシオペヤ座とおおぐま座(北斗七星を含む星座)は一年中見られるので冬に観察ができる星座であり、ふたご座とおうし座は冬に観察ができる星座であるので、夏に観察される代表的な星座であるさそり座が解答となる。問5は星の日周運動と年周運動に関する問題である。星の日周運動は東の空から西の空へ1時間あたり約15°移動し、年周運動は東の空から西の空へ1ヶ月あたり約30°移動する。(2)と(3)はこの2つの動きを組み合わせることで計算可能であるが、2つの動きの速さと2つの動きの方向を同時に考えなければならないので落ち着いて解答しなければならない問題であった。
【2】
光の色と光合成の効率を題材にした問題。エンゲルマンの実験は大半の受験生が初めて見る内容だったと思うが、実験結果の図を見て考察する問題として出題した。問1は選択肢を落ち着いて読めば正答が選びやすい問題で、実際よくできていた。問2の葉緑体は見慣れない形状だったためか、誤答も多かった。本問のポイントは問3で、バクテリアの分布から、光の色によって光合成の効率が異なることを読み取れたかどうか。光合成の知識と本文の内容を結び付けて考えてほしい。問4は問3を踏まえた選択問題であり、合格者と不合格者で差がついた。緑色の光が光合成に向いていないことに気づければ、問5の答えが見えてくるはずだが、適語を補って自然な文章にするためには想像力と語彙力も必要だっただろう。
【3】
物質の温度による状態変化と、熱の伝わり方についての問題。また、物質の温度を高温に設定したので、それに伴う発光現象も絡めて出題した。全体的な正答率は、後半部の「熱の伝わり方」については全体的に高く、最後の問6についても「温度が高いものは青系の色の光を出す」ことと関連づけて考えられた受験生が多かったようである。その一方で、前半部の「ものの温まり方」については「その温度帯で鉄が出す光の色」という情報が加わったためか、全体的に低いものとなった。現実の世界で理科的な現象を応用する際には、単一の現象のみを考えるのではなく、いくつかの情報から複合的に事象を考察することが多く、そういった感性は実際に実験などに積極的に参加をし、観察する現象以外のことも体感することで磨かれることが多い。是非、今後の学習には主体性を持って取り組んで、貴重な体験を積み上げていってほしい。また、その際には説明を注意深く聞くことが望ましい。問1は、ものすごく低い正答率になってしまったが、問われているのは「鉄が固体から液体になるときの温度を何と言うか」というものであった。
【4】
水溶液の性質(酸性とアルカリ性)に関する問題。問1から問3は中和反応で生じる塩と指示薬の色についての基本的な問題である。問4から問7は計算を要する問題であるが、実験に使用した炭酸水と石灰水は2:3の割合で混合すると過不足なくちょうど中和するということに着目すれば解くことができる。問6は濃度が異なる水溶液を混合する問題であるが、2倍の濃度であれば中和に必要な体積は1/2倍となり、1/3倍の濃度であれば中和に必要な体積は3倍となることを考慮して2つの水溶液の量的関係を明らかにすることがポイントであった。化学分野の計算問題の多くは比例や反比例の関係だけで解くことができるので、物質の量が変化しても正しい量的関係に当てはめる練習をすることが大切である。

理科2次 正答率・講評

問題 正答率(%)
受験者 合格者
【1】 問1 63.7 71.1
問2 92.7 97.0
問3 41.4 47.2
問4 89.9 94.4
問5 91.7 95.1
【2】 問1 59.2 67.0
問2 51.7 55.4
問3 48.5 57.4
問4 81.1 85.1
問5 66.7 73.1
【3】 問1 72.6 78.4
問2 91.9 95.7
問3 72.8 82.6
問4 33.2 41.5
問5 21.9 23.9
【4】 問1 70.2 80.0
問2 95.2 97.1
問3 62.1 75.7
問4 47.2 63.0
【1】
冬の天気における基本的な問題。
冬の季節風の風向・気圧配置の特徴・夏の季節風に起こる現象については正答率はとても高かった。問題の特徴として、純粋に問う問題よりも言い回し方を工夫されていたが受験生はよく対応していた。一方で、問1のシベリア高気圧(気団)を答える問題については、確かに正答率は高かったが、揚子江・移動性・大陸性等さまざまな解答も見られた。
 問3の雲についての問いについての基本的概念は、冬の筋状の雲は、多くは積雲であるということである。そこで、日本海上では常に雲は移動しているので積雲と考えるのは自然である。一方で、日本列島に大雪をもたらすのは、確かに積雲も完全な間違いではないが、ここでは、日本列島の山脈に積雲がぶつかり、上空に向けて積み重なって積乱雲となって大雪をもたらすと考えるのが妥当である。これは、夏の上昇気流によってできる積乱雲とはできかたが異なるため、正答が低くなったと考えられた。
【2】
問1は基本的な知識問題であるが、合格者平均と受験者平均との差が比較的大きかった。基礎的なことをしっかりと身につけていくことが、次のステップに移るための大切なことの1つであることを忘れないでほしい。問4は、知識として覚えていた人が多かったのか正解者が多かった。ただ、文章から推察していくこともできるので、基礎知識を使って考えていく姿勢を大切にしてほしいと思う。種子の大きさと数が、植物が生育範囲をひろげていくこととどう関係していくのかをしっかりと理解できていれば、問3も的確に答えられたはずである。基本的な知識を身につけて、何故そうなるのかという考える姿勢忘れないでほしいと思う。
【3】
問1~問3は基本的な知識問題なので、正答率は高かった。このような問題で取りこぼしをしないように、まずは基礎力の土台をしっかり作ってほしい。合格者平均と受験者平均の差が最も大きかった問3では、「10.4mg未満」という誤答が非常に多かった。早とちりしてしまった人も多かったと思われるが、例えば10.45mgでも小数第一位を四捨五入すれば10mgになると簡単に確認できるので、落ち着いて見直しをすればこの間違いには気付けたであろう。問4と問5では実験の再現性をテーマにしたが、問4の(2)と(3)は問題文の説明に素直に従えばよく、正答率は高かった。一方、問4の(1)は実験の内容を正しく理解しなければ答えられないため、正解者は少なく、結果として問4全体の正答率も低くなった。つまり、問4の正答率の差は、問題文をよく読み、実験操作の意味をしっかり考えることができたかどうかによるものと考えられる。最も正答率が低かった問5については、再現性という概念に馴染みが薄かったと思われるが、実際に自由研究を行う場合などを思い描いてみると考えやすかったのではないかと思う。「教わったことがあるかどうか」「知っているかどうか」だけでなく、「勉強してきたことをもとに考える」という姿勢も大切にして勉強を続けてほしい。
【4】
電磁石に関する問題。問1~問3は問題集に載っているような定番の問なので皆よく出来ていた。問4は正答率に大きな差がついた。(1)では35gという誤答が目立ったが、これは「左端Pからの距離」ではなく「支点からの距離」というように、図6の縦軸を読み間違えたと思われる。また(3)も217.5mAとい誤答が目立ったが、これも「電磁石自体の重さを引き忘れた」ことによるミスだと思われる。定番の問を早く正確に解き、やや難解な設問はじっくりと問題文を読み対処する、という学習姿勢を続けることが合格への近道であろう。

理科3次 正答率・講評

問題 正答率(%)
受験者 合格者
【1】 問1 93.6 95.8
問2 65.6 72.2
問3 59.6 72.2
問4 40.4 38.9
問5 35.3 48.6
【2】 問1 93.5 95.3
問2 93.6 96.5
問3 62.8 70.8
問4 75.7 83.3
問5 6.4 9.7
問6 71.6 79.2
問7 64.7 79.2
【3】 問1 91.3 93.1
問2 90.8 91.7
問3 79.4 91.7
問4 45.4 70.8
問5 5.5 13.9
問6 16.5 37.5
【4】 問1 66.5 71.3
問2 89.9 91.7
問3 71.8 82.6
問4 59.6 70.8
問5 32.5 51.0
【1】
地層の堆積に関する基本的な問題。
まず、問4は、地層C(砂岩)と地層D(泥岩)のどちらが上か、を答える問題であったが、これは地層が堆積する際に砂と泥が同時に堆積したときには、どのようになるかを考える問題である。つまり、粒の大きい砂が先に、小さい泥が後から堆積することを考えれば、泥であるDが正答となる。また、問5の崖が作られた過程の問題については、最初の問題文に地層がマグマに焼かれたとあるので、地層の堆積⇒マグマの流入の順番であることがわかる。さらに、地層の堆積はアンモナイトが見られることからも海底で、マグマの流入は海底で噴火したような特ちょうが見られないということから、地上で噴火したと考えられる。つまり、海底で地層の堆積⇒陸になる⇒マグマの流入⇒河川の侵食となる。
 問1のしん食作用は正答率はとても高かった。問2の河川の土砂の運搬についてはB地点の流れが遅く、小さめの粒の土砂が堆積することがわかっていれば解答できる。最後に問3は、時代を示す化石は示準化石であることを知っていれば解答するのに容易である。
【2】
 気体の性質とそれに関連する理科的なトピックスを問う問題。
 気体の基本的な性質に関する設問である問1・問2はかなり正答率が高かった。
 光合成に必要な物質を聞く問3では,「光」「日光」という解答が多く見られた。物質という言葉にきちんと着目していれば解答できたのではないかと思われる。
 問4以降は,普段どのくらい理科的な話題に興味を持って接しているかを問う問題であり,ノーベル賞受賞者に関する問7は,受験者と合格者で正答率の差が大きかった。今回の設問で問うた事柄は,ニュースや学校で行われる工場見学など,様々なところで聞いたことがある内容だったのではないだろうか。
 授業で教わる知識だけでなく,日常にも理科的な要素はちりばめられていることを意識してほしい。
【3】
音が伝わる時間や距離に関する問題である。問1~問3は基本的な問題で,予想通りの正答率であった。この種の文章問題はいかに具体的なイメージを作れるか。すなわち問題文を図にし,図の中にどのように問題の条件を設定いくのかということを考えられるかが問われる問題である。
 特に,問4~問6はそれぞれの条件を図にして考える必要がある。問5は9秒間というのをはじめの条件で求めた答えにただ9秒をたして24秒とした解答が多かった。9秒間の間に船も動いていることを見落としていると思われる。
【4】
問1と問2は基本的な知識問題であり、しっかり得点したいところだが、問1では「変態」の漢字のミスが多かった。問3以降は問題文に書かれた実験の結果を考察していく問題で、合格者と不合格者の差がついた。実験1では、カイコガをひもでしばったときにホルモンが届く範囲がどう変わるか、図の中に書き込んでしまうと考えやすいだろう。問3は選択肢の並びが考え方のヒントになっており、得点しやすかったようだ。問4は4令幼虫と5令幼虫の実験結果を落ち着いて比較すると答えが見えるはず。問5は難易度の高い記述問題。もともと5令幼虫の体内で作られているホルモンZと、移植されたアラタ体で作られたホルモンAがそろうので、5令幼虫の体内で4令幼虫と同じ状況が作られる。そのため、さなぎになるのではなく脱皮するのだと推測してほしい。ホルモンが「物質」、アラタ体が「器官」であることは問題文に書かれているが、その点が理解できていないような不自然な文章を多く見かけた。問題に書かれている情報を限られた時間内でしっかり読み取る能力と、それを簡潔な正しい日本語にまとめる能力を養ってほしい。